Cocoです。
看護学校受験の方の数学を指導していると、意外と行き詰まってしまうのが「余事象を利用する確率」の問題だということに気が付きます。
そこで今回は「余事象を利用して解く確率」の考え方と、ちょっとしたコツをこの記事でお伝えしたいと思います。
そもそも余事象ってどういうこと?
そもそも余事象というのは、「“ある場合”以外」の事象のことです。
うーん日本語って難しい。これだけだといまいちピンときませんよね。そこでこんな例題を作ってみました。
<例題>
ここにお寿司屋さんのメニューがあります。
Aさんは家族のために、寿司の出前を取ることにしました。
ところで、「むつき」「きさらぎ」「やよい」「うづき」「さつき」「みなづき」の6つすべてを注文したら4000円ちょうどになることがわかっています。先月、友達がAさん宅に遊びにきたときに、みんなでこの6つを注文したからです。
今回は「むつき」「きさらぎ」「やよい」「うづき」「さつき」の5つを注文することにしました。合計金額はいくらになるでしょう。
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さて、あなたならどうやって合計金額を計算しますか?
おそらく、計算の方法は2通りのどちらかになるんじゃないかな、と思います。
計算方法その(1)「むつき」から「さつき」まで全部足す
「むつき」から「さつき」まで全部足すと、
997+714+609+472+630=3422円、だとわかります。
計算方法その(2)合計4000円から、注文しない「みなづき」だけを引く
6つ注文すると4000円だということはすでにわかっています。
今回は「みなづき」だけ買わないので、4000円から「みなづき」の代金だけを引いて、今回の代金を求めることもできますよね。
そうすると、
4000-578=3422円
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(1)(2)の考え方は、どちらも正しいです。
このうち、「余事象を利用して解く」というのは、上記の計算方法で言う(2)のやり方のことを指します。
「“ある場合”以外」の事象、つまり今回は「みなづき」だけ買わないので、「ある場合以外」というのは「みなづき」のお寿司のことを指します。
今回のケースだと、6つ買ったら4000円と分かっています。
5つの寿司の値段を全部足すよりも、全体の値段4000円から「みなづき」の値段だけ引いてあげたほうが、計算は楽だし速くできますよね。
これが「余事象」を利用した考え方です。
余事象を使うと計算が楽になるケースとは
余事象の考え方を利用することで計算が速く楽にできることがあります。
上の例を見て、なんとなくつかめた方も多いんじゃないかな、と思いますが、「ある場合」がたくさんあるときは、全体から「ある場合以外」を引いてあげたほうが、速く楽に求められます。
確率の問題で出てくる「余事象」についても、同じことが言えます。
余事象を使って求める確率の例題
具体的にどういう場合に余事象を使って解くと楽に解けるのか?
実際の確率の問題で考えてみましょう。
例題)
10本のくじの中に、当たりくじが4本入っている。この中から同時に3本のくじを引くとき、少なくとも1本当たる確率を求めよ。
この問題を、
(1)余事象を使わずに解く
(2)余事象を使って解く
の2種類で解いてみましょう。
わかりやすいように、式の部分だけ色を変えます。
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(1)余事象を使わずに解く
3本のうち「少なくとも1本があたり」ということは、
・あたりが1本…OK
・あたりが2本…OK
・あたりが3本…OK
なので、これをそれぞれ場合分けして確率を求めて、最後に全部足せばいいですよね。
①あたりが1本のとき、
(4C1✕6C2)/10C3=1/2
②あたりが2本のとき、
(4C2✕6C1)/10C3=3/10
③あたりが3本のとき、
4C3/10C3=1/30
よって、求める答えは①+②+③より、
(1/2)+(3/10)+(1/30)=25/30=5/6
ということで、確率は5/6だと分かりました。
(2)余事象を使って解く
3本のうち「少なくとも1本があたり」ということは、
・あたりが1本…OK
・あたりが2本…OK
・あたりが3本…OK
でも、
・あたりが0本…ダメ
なので、あたりが0本のときの確率を出して、1から引いたほうが手っ取り早く求められます。
10本中4本があたりのくじで、3本ともハズレになる確率は、
6C3/10C3=1/6
よって、求める答えは、
1-1/6=5/6
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(1)余事象を使わずに解く
(4C1✕6C2)/10C3=1/2
(4C2✕6C1)/10C3=3/10
4C3/10C3=1/30
(1/2)+(3/10)+(1/30)=25/30=5/6
と、全部で4つの式で答えを求めました。
(2)余事象を使って解く
6C3/10C3=1/6
1-1/6=5/6
と、2つの式で答えを求めることができました。
今回の問題のように、
・あたりが1本…OK
・あたりが2本…OK
・あたりが3本…OK
でも、
・あたりが0本…ダメ
のように、問題で求めなければならないものが多くなればなるほど、余事象の考え方を利用して解いたほうが、問題は解きやすくなります。
ただし、知っておいていただきたいのは、
(1)余事象を使わずに解く
(2)余事象を使って解く
どちらで解いても、考え方の過程や計算が正しければ、必ず正解にたどりつけます。
どうしても余事象の考え方が自分にとっては難しくて理解できないという場合は、余事象の考え方を無理に使う必要はありません。
「絶対に使わなきゃいけない」というものではなく、「余事象の考え方を利用したほうが計算が楽だし効率よく答えを求められる」というだけの話ですから。
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