Cocoです。
この記事では、看護学校や准看護学校の志望動機に関する私見を書いていきたいと思います。
毎年たくさんの志望動機を添削しているのですが、「患者さんから感謝されるから」「患者さんから感謝されたいから」看護師になりたい、と書く受験者さんがいらっしゃいます。
例えばこのような志望動機です。
ある看護学校受験生の方の志望動機を拝借しました(個人の特定を避けるためと、日本語がやや変だったので一部Coco側で改変しています)
私の家族は看護師として働いていました。そしてその家族から看護師としての経験を聞き、看護師を目指そうと考えました。看護師は患者様と接する時間が長いぶん、退院されたときに感謝されることが多く、とてもやりがいを感じると聞きました。だから私も人に感謝される仕事をしたいを思い、看護師を志望しました。
ここでいいたいのは、「感謝されるから看護師」という考え方や書き方が適切かどうか、という話です。人の価値観に正解や不正解はないので、「感謝されるから看護師になる」という本音があるのは別に否定しません。ただそれを志望動機に書いてしまうのはどうなのかな、とCocoは思うんです。そう思う理由をこれから述べていきます。
感謝されるから看護師を目指すのか?というと、ちょっと違うと思うんです。
まず、感謝されるのはどの仕事でも言えることです。バスの運転手は乗客から「ありがとう」くらいは言われます。レストランの店員さんであっても「ありがとう、おいしかった」とか「ごちそうさま」などとお客さんからいわれます。私は学生時代コンビニとかスーパーとかでアルバイトをしていたときもありましたが、やっぱりよくお客さんから「ありがとう」はいわれていました。
私のような教える仕事をしていても、保護者や生徒から感謝されることはあります。むしろしょっちゅうです。
私の場合は教える仕事を20年くらいしています。もちろん感謝されることもありますが、生徒や保護者に感謝されるからこの仕事をやっているかというと、それは違います。
やりがいをどこで感じるかと言うと、生徒の成長をみたとき。一緒に悩み、苦しみ、時には叱り、諭し、励まし、一緒に考えて、やってみて、その上で生徒の望む結果が得られたとき。こういうときにやりがいを感じます。
生徒には日頃から「別に私に感謝なんかしなくていいし、むしろ踏み台にしてくれてかまわない」とまで言ってます。生徒に可能な限り寄り添い、生徒が目指す道に進めるように、生徒の人生がちょっとだけ実りあるものになるようにと願いながら、生徒と一緒に(途中まで)長い長い坂道を歩いていくのが私の役割です。
看護と教育業は別業種ですが、人に寄り添い、その人がこの先どう生きたいのか、より良く生きるにはどうすればいいのかを共に考え、それを直接的あるいは間接的に支援していく仕事、という意味では似通っているんですね。
生徒が「この先はもう1人で歩ける」という状態になれば私はそれで満足です。そこに感謝は必要ありません。感謝なんかなくたって、生徒の生きる姿、努力して結果を出していく姿を見ているだけで私は満足ですし、それで十分幸せです。それ以上は何も望みません。生徒が幸せに生きられる道を見つけることができたのであれば、そこに私に対する感謝なんてなくていいと思います。
感謝されたいのであれば、例えば電車の中でお年寄りに席を譲るとか、そういうのでもいいと思うんです。別にそれを「職業」とする必要なんてないと思うんです。
「感謝される」というのは、自分が為した行動にたいして起こる可能性があるものです。結果的に「感謝される」ということはよく起こりますが、「感謝されること」を期待して、あるいは感謝されることを前提として何か行動するのはちょっとおかしいと思います。人によっては感謝の言葉をかけてくれないこともありますしね。
もしそういう患者さんを担当したとき、感謝の言葉を一言もかけてもらえないままその人が退院してしまったとき、あなたは「あんなにしてやったのに御礼の一言もいいやしない」と思い、その患者さんに対して怒りや憎しみの感情を抱くのでしょうか?私が患者だったら、そんな看護師に看護されたくないと思ってしまいます。
おそらく、「感謝される仕事をしたいから看護師」と書いていらっしゃる方の多くは、ただ文章をどう書けば自分のいいたいことがきちんと伝わるのかがわからなくて、そういう書き方をしてしまっているだけじゃないかな、と私は考えています(・・・そうであって欲しい、と願っている自分もいます)。でも「感謝されたいから看護師」という書き方だと、人にはあなたが看護師になりたい理由を正しく汲み取ってもらうことはできないです。
こういう書き方をなさっている人は、もう一度自分自身が「なぜ看護師になりたいのか」を見つめなおしてみてください。
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